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【推し、燃ゆ】推す人と青春の、吐きそうになるリアル ーー読書感想文

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※この記事には「推し、燃ゆ」のストーリーに関する若干のネタバレが含まれています。

 

こんにちは、こーき7です。

 

今回は読書感想文として

 

「推し、燃ゆ / 宇佐見りん

 

の感想を書いていきます。

 

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「推し、燃ゆ」基本情報

Wikipediaより)

推し、燃ゆ』(おし、もゆ)は、宇佐見りんの2作目の長編小説。第164回(2020年度下半期)芥川龍之介賞を受賞。綿矢りさ金原ひとみに次ぐ歴代三番目の若さ(21歳)で受賞し、2021年本屋大賞の候補にもなっている。2021年2月現在累計発行部数30万部をこえるベストセラーとなっている。

 

カバーイラストダイスケリチャード氏。

 

 

ほんとに、学生の時に夏休みなどの長期休暇で

出される宿題で書いてたみたいな雰囲気で

久しぶりに読書感想文を書いてみようと思います。

 

前置きが長いので、さっさと内容の感想だけ読みたい人は

目次から「感想:推しは命に関わるからね」まで跳んでください。

 

 

※以下、「推し、燃ゆ」の内容に関して、若干のネタバレを含みますのでご注意ください。

 

 

 それでは、よろしくどーぞっ!

 

 

 

 

「推し、燃ゆ」読書感想文

 

きっかけ、タイトルの良さ

 

ぼくがこの作品の事を知ったのは

テレビでニュースを見た時だった。

 

21歳、芥川賞受賞!「推し、燃ゆ」

 

ふだんあまり、自分も含め人の年齢には特に興味がなく

できるだけ、年齢なんてただの数字でしかないと思うようにしているのだが

今回は珍しく、芥川賞受賞者が21歳であることはぼくの興味を大いに引いた。

 

ぼくはこの「宇佐見りん」という作家をこの時まで知らなかったし

もちろん「宇佐見りん」さんという人間の事など全く知らない。

 

それでも、いやおそらくそれゆえに

ニュースで数分見ただけの

 

21歳、芥川賞受賞!「推し、燃ゆ」

 

という短い分の中から

「宇佐見りん」についての想像を膨らませることができた。

 

芥川賞を受賞するほどの文才・文章力がある人なのだから

きっとたくさんいろんな本を読んでいるはず。

当たり前だが、それの意味するところは

他の事への時間を削るという事につながりそうだと思う。

 

特に、彼女が10代の内から小説家を目指すと決めて

日々を過ごしていたとしたら

常に文章と向き合う日々

周りの友だちが送っているような青春とは

少しイメージの違う時間を過ごすことになっていても

不思議はない気がする。

 

しかし、そんな彼女の書いた作品のタイトルは

「推し、燃ゆ」

さらにその書き出しは

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。」

 

芥川賞レベルの高い文章力

現代的な”推す人”のリアルが描かれてるのかなぁ

だとしたら相当面白そうだよなぁ。

 

こういう印象を持ったのは

作者の年齢が21歳であるという情報も一緒に入ってきたからだと思う。

 

 

「推し」という言葉は

現代の若者の社会を代表する言葉の1つだといえるだろう。

「推」という漢字からだいたいの意味はだれでも想像できるが

実際の「推し」という言葉の使われ方には

イマイチついていけないというか、理解しかねているという人も少なくないだろう。

 

そして「燃ゆ」という言葉は、

いかにも文筆家が好んで使いそうな雰囲気のある言葉である。

明らかに口語ではなく、本を読む習慣がない人にはあまりゆかりのない言葉だろう。

 

どちらの言葉も

漢字からだいたいの意味が想像できる点は同じだが

一般的なイメージで言うと、その言葉の持つ属性

かなり別々のものであるような印象を受ける。

 

そんな2つの言葉を繋げたのが本作のタイトル

「推し、燃ゆ」である。

 

小説というのはそもそもが

「燃ゆ」属性の物だと思っていたものを

「推し」がテーマとなっている作品というのは面白い。

 

さらに、前述したように

なじみがなくとも理解しやすい想像しやすい言葉だけで

タイトルを作っているところも分かりやすく、インパクトがある。

 

 

当初はここまで真剣にタイトルの良さについて考えていたわけではなかったが

このタイトルと、書き出しの2文だけで

めっちゃ面白そうやん

と思い、すぐにAmazonで購入し、読み始めるに至ったわけだ。

 

ここまでなぜかムダに長くなってしまったので

そろそろ内容の感想に入る。

 

 

感想:推しは命に関わるからね

 

当初に想像というか期待していた通り、

主人公である高校1年生の女の子「あかり」を通して

「推す人」の世界がリアルに描かれている。

 

「推しは命に関わるからね」

 

あかりと友達との会話にあった、印象的なセリフだ。

 

このセリフが登場するのは6ページ目

まだまだ冒頭部分のシーンで最初にこのセリフを見た時には

 

女子高生の物言いはいちいち大げさだからな~w

 

と思う人も多いのではないだろうか。

 

推しのいる生活を送っている、または送っていた人なら

その感覚に対して強い憤りを覚えるかもしれない。

 

しかし、「推し」という感覚を知らなかったり

10代のころの感覚を忘れてしまっていたりする人には

そう感じるのも仕方のないことだと思う。

 

むしろ、そういうふうに

6ページ目の

「推しは命に関わるからね」

大げさだと感じた人たち

最終の125ページ目をめくるまでの間に

そのセリフのリアルさに少しずつ気づいていく

 

「推し、燃ゆ」は一言でいうとそんな作品なのではないかと思う。

 

(もし、最後まで読み終わってもなお、”大げさ”だとか”甘え”だとか”大人になればわかる”だとかという感想しか持たない人がいれば、ぼくはその人とはできれば関わりたくない。まぁ、多くの大人に刺さっているからこそ評価されているのだから、杞憂だとは思うが。)

 

 

それと同時に、

「推しは命に関わるからね」

に最初から共感して読み進めた人たちにとっては

ある種のバイブルのような存在になり得る作品でもあるだろう。

 

この本にかけられた販促用のの裏表紙側には

豊崎由美さんという方のこんな言葉が掲載されている

 

「すべての推す人たちにとっての救いの書であると同時に、絶望の書でもある本作を、わたしは強く強く推す」

 

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本作を読み終えた後に

もう一度この、豊崎さんの言葉を見て、なんて的確な1文だと思った。

 

 

推しがいる世界の素晴らしさという

ポジティブな側面よりも

 

推す事を理解されない苦しみ

推しのいなくなった世界への絶望という

マイナスな側面の方が

 

本作の物語ではメインで語られている。

 

その為、本作は「すべての推す人たち」にとって

絶望の書となりうる。

 

しかし、それでも

 

ぼくも豊崎さんと同じように

この「推し、燃ゆ」という作品を強く強く推したいと思う。

 

 

「すべての推す人たち」にとって

推しのいる生活は何よりも尊くて素晴らしいものであることなんて

今さら誰かの言葉で焼きまわされなくても分かり切っていることである。

 

それよりも、

その素晴らしい生活のすぐ裏に常に潜んでいる悪夢

 

不安を感じながらもそれを上手く表現できず

 

表現できないから分かってももらえず

 

苦しんでいるのに遊んでいると思われる。

 

 

そんなネガティブな側面に寄り添い、共感し、

共に絶望してくれる「あかり」の姿こそが

 

そんな作品を書き上げて世に発表してくれる同年代の仲間の存在こそが

 

そして、そんな作品が賞を受賞し

評価され認知されているという事実こそが

 

文字通り”必死に”推しを推し続ける人たちの救いとなる

 

そう、ぼくは信じている。

 

 

 

おわりに:やっぱり読書感想文はいいね!

 

 という感じで今回は

「推し、燃ゆ」読書感想文記事でした!

 

読書感想文、久しぶりに書いた~!

自分の感想を自分で理解できるようになるので

こういうのってけっこう大事ですよね。

 

ただやっぱりクセで、本編の感想入るまでが長ぇw

 

そして書き方ね。

ですます調ではなくて、今回みたいな「だ。」「である。」調みたいなので

書くことの方が多いかな。読書感想文の時は。

 

 

肝心の感想文の内容については

けっこう良い感じに伝えたいことがまとまってると思います。

 

文体や流れがとっても読みやすくて

長くならない程度で終わってるので

5~6時間くらいあったら本読むの遅い人でも確実に読み終わります。

 

まだ読んでない人はぜひ読んでみてください!

 

宇佐見りんさんの前作「かか」も近々読んでみようかなぁ。

 

 

それでは、今日はこのへんで。

 

 

またねっ。